認知神経科学に片足つっこむ
最近、読書量が減っていたせいもあって書評を投稿できていない。 そのかわり研究関連の読書(専門書や論文)で、得た知識もメモしていこう。 自分の研究領域は、ヒトの神経系の中でも運動に関わるものが対象 専門は何ですか?と聞かれれば、神経生理学とか運動生理学と答える。 でもヒトの脳ってもちろん、体を動かすためだけではなくて、喜怒哀楽を感じたり、想像したり、見たり、聞いたり、…いろんなことをしているわけで、しかも、それらは独立で起こっているのでなく、密接に絡み合った結果、人は行動している。 学問は、どんどん細分化されて、その学問のなかでの法則を見つけることが重要なんだけど、 もう少し視野を広げたら、もっと面白いし、これから益々学問間のインタラクションが大事になってくる。 そうしたときに、神経科学って本当にいろんな人が関わっていて、僕みたいな理工系の人間は割と珍しい方で、医学とか、心理学とか、スポーツ科学とか… 異分野をつなげる研究がとてもしやすいものだと思う。 といいつつ、ただ認知科学に興味をもったので、最近勉強をしている。 僕が自分の研究に取り入れようとしているのは、”注意(Attention)” 注意が何なのかってことは誰もが知っていて、普段何気なく行っている。 運動に関しても、注意は重要なファクターだ。注意することで、巧緻性をあげたり、反応を早めたりできるってことは日常生活の経験から容易に頷ける。 注意というものは、心理学や認知科学の古典的なテーマ。 これまでどんな研究がされてきたのか。まずはリサーチしようってなことで勉強をはじめた。 注意を説明するときに、フィルターとかスポットライトという言葉が使われる。 これは、注意の機能として、多くの情報(視覚、聴覚、触覚…)から一つを選択しているということを表現している。注意研究が盛んにされるようになったきっかけが、Cherry(1953)によるカクテルパーティ効果の発見である。様々な人の声が飛び交うなか、注意を向けた人の声だけが認識できるというあれだ。これは両耳分離聴(dichotic listening)という手法を使って実験的に示された。左右の耳に異なる聴覚情報を聞かせ、一方の耳に与えられた情報に注意を向けさせるために、追唱(shadowing)をさせる。その結果、追唱しな...