投稿

4月, 2017の投稿を表示しています

読んだ本メモ⑱ 「重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る」 大栗博司著 幻冬舎新書

イメージ
”重力とは何か” 当たり前すぎて、普段気にも留めませんが、私たちが地球から飛び出てしまうことがないのは、重力があるから。地球上のどこに行っても、たとえ空を飛んだって、重力は私たちに働いている。 そんな重力が、実は”幻想”である、と言われたら簡単には信じられませんよね? 相対性理論、量子力学、超弦理論、、、、 この世界を理解する統一理論を探る、物理学の歴史のお話を、 著者の大栗博司さんは、わかりやすく、かつ、ごまかさすことなく、教えてくれます。 私は自分自身がサイエンスに携わっている身なので、日々科学研究の意義について考えています。 科学の話は聞いていてワクワクするし、人間には程度の差こそあれ等しく好奇心があると私は思っています。ですので、この世界の仕組みを解き明かすこと、さらにその発見を社会に広めること、そのものに本質的な意義があると考えています。 本書の冒頭でもこのように語られています。 1969年、フェルミ国立加速器研究所の初代所長のロバート・ウィルソンが、米国議会に証人として呼ばれて、「素粒子加速器の建設は、わが国の国防にどのように役立つのか」と問われたことがあります。(中略)当時のお金で何億ドルもの予算をかけて建設するのですから、役に立たないのでは国民の納得を得られません。  予算がみとめられるかどうかの瀬戸際で、ウィルソンはこう答えました。 「この加速器は、直接には国防の役には立ちません。しかし、我が国を守るに足る国にすることに役立ちます」  ウィルソンの答え方も立派ながら、これで納得して計画を通した議会も立派だと思います。事実、フェルミ研究所の加速器は、(中略)長いあいだ世界で最も強力な加速器として活躍し、世界に誇るべき大発見をいくつも成し遂げました。  さらに言えば、科学の発展は一国の名をあげるだけではありません。科学は、合理的な考えを広めることで、人類を迷信や偏見から解放し、宇宙や生命の神秘を明らかにすることで、私たちの世界を豊かなものにしてきました。「科学の目的は、人類の精神の栄光である」という言葉があるように、科学はそれ自体に価値があり、それを生み出すことには大きな意義があるのです。 とはいっても、 その発見は人間社会にとってどんな役に立つのか? 病気が治るのか?、交通事故が減るのか?、それとも地震を...