頭皮脳波はなにを見ている?
最近、いろいろと基本をおさらいしていたので、ここでまとめておこうと思う。
人の脳活動を計測する手法はいろいろある。
非侵襲なものだと、fMRI、PET、EEG、MEG、NIRS…
侵襲的なものだと、ECoG、LFPなど
fMRI、PET、NIRSというのは神経活動にともなう脳血流を見る手法で、
それ以外の手法は、神経の電気的な活動を直接計測している。
ここでは、EEG(頭皮脳波)などの神経の電気的な活動の測定法について考える。
細胞外記録とは
神経細胞は、シナプスを介して、他の神経細胞と連結している。
神経活動といっているのは、神経の発火や膜電位の変化のことだけど、
もちろん、神経細胞に電極を刺して計る(細胞内記録)のように、膜電位を直接記録することは生体ではできない。人を対象とした計測で用いる手法は程度差こそあれ、細胞外記録になる。
ECoG、 LFP
脳表に設置した電極から計測するECoG(皮質脳波)や、脳に刺入した電極から計測するLFP(局所フィールド電位)は、局所的ではあるものの時間分解能も空間分解能も高い信号が得られる。
しかし、てんかんやパーキンソン病などの治療のために、電極を外科手術によって留置した患者さんの協力を得られない限り、計測はできない。
EEG
そこで、一般健常者でも患者さんでも、安価(比較的に!)な設備で神経活動を測定できる手法はEEG(頭皮脳波、Electroencephalogram)である。
EEGは頭皮に電極を貼付し、その電極から微弱な電位変化を記録する手法だ。
どれくらい微弱かというと、せいぜい数十マイクロボルト程度。商用の交流電源は100Vなので、だいたいそれの1000万分の1だ。
というのも、脳とEEG電極は、頭皮、頭蓋、髄膜などの組織によって隔てられている。
EEGによる神経活動の計測は、
例えるなら、東京ドームの外から観客の拍手や歓声を聞くようなものだ。
個々の観客がばらばらに手を叩いても、外からはわからない。
ホームランでも打てば、観客は一斉に歓声をあげるので、外からもわかるだろう。
これはつまり、神経が一斉に(同期して)発火すれば、EEGでも計測できるということだ。
正確には、EEGなどの細胞外記録で見ているのは、神経発火ではない。
見ているのは、”シナプス後電位”だ。神経細胞が他の神経細胞から受け取った入力によって変化する電位である。この電位が一定閾値に到達すれば、神経は発火する。ちなみに、発火した時の電位変化は、急峻で細胞外記録では捉えられない。
さらに、さまざまな組織を隔てることで(ローパスフィルタとして働く、RC回路かな。)、ゆっくりとした電位変化だけが、頭皮上ではとらえることができる。(せいぜい40 Hzくらいまでかな)
というわけで、EEGでは同期的な神経活動をとらえたものだ。
ちなみにMEG(脳磁図)も基本的にはEEGと同等のものを見ている。
皮質内を流れる電流によって磁場が形成される。この磁場の変化を多数のコイルによって計測する手法がMEGだ。MEGは装置も高価だし、ランニングコストもかかる。それでいて、見れる信号はEEGとほぼ同等…
人の脳活動を計測する手法はいろいろある。
非侵襲なものだと、fMRI、PET、EEG、MEG、NIRS…
侵襲的なものだと、ECoG、LFPなど
fMRI、PET、NIRSというのは神経活動にともなう脳血流を見る手法で、
それ以外の手法は、神経の電気的な活動を直接計測している。
ここでは、EEG(頭皮脳波)などの神経の電気的な活動の測定法について考える。
細胞外記録とは
神経細胞は、シナプスを介して、他の神経細胞と連結している。
神経活動といっているのは、神経の発火や膜電位の変化のことだけど、
もちろん、神経細胞に電極を刺して計る(細胞内記録)のように、膜電位を直接記録することは生体ではできない。人を対象とした計測で用いる手法は程度差こそあれ、細胞外記録になる。
ECoG、 LFP
脳表に設置した電極から計測するECoG(皮質脳波)や、脳に刺入した電極から計測するLFP(局所フィールド電位)は、局所的ではあるものの時間分解能も空間分解能も高い信号が得られる。
しかし、てんかんやパーキンソン病などの治療のために、電極を外科手術によって留置した患者さんの協力を得られない限り、計測はできない。
EEG
そこで、一般健常者でも患者さんでも、安価(比較的に!)な設備で神経活動を測定できる手法はEEG(頭皮脳波、Electroencephalogram)である。
EEGは頭皮に電極を貼付し、その電極から微弱な電位変化を記録する手法だ。
どれくらい微弱かというと、せいぜい数十マイクロボルト程度。商用の交流電源は100Vなので、だいたいそれの1000万分の1だ。
というのも、脳とEEG電極は、頭皮、頭蓋、髄膜などの組織によって隔てられている。
EEGによる神経活動の計測は、
例えるなら、東京ドームの外から観客の拍手や歓声を聞くようなものだ。
個々の観客がばらばらに手を叩いても、外からはわからない。
ホームランでも打てば、観客は一斉に歓声をあげるので、外からもわかるだろう。
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観客(神経細胞)が一斉に叫べば、外の人(脳波計測)にも聞こえる |
これはつまり、神経が一斉に(同期して)発火すれば、EEGでも計測できるということだ。
正確には、EEGなどの細胞外記録で見ているのは、神経発火ではない。
見ているのは、”シナプス後電位”だ。神経細胞が他の神経細胞から受け取った入力によって変化する電位である。この電位が一定閾値に到達すれば、神経は発火する。ちなみに、発火した時の電位変化は、急峻で細胞外記録では捉えられない。
さらに、さまざまな組織を隔てることで(ローパスフィルタとして働く、RC回路かな。)、ゆっくりとした電位変化だけが、頭皮上ではとらえることができる。(せいぜい40 Hzくらいまでかな)
というわけで、EEGでは同期的な神経活動をとらえたものだ。
ちなみにMEG(脳磁図)も基本的にはEEGと同等のものを見ている。
皮質内を流れる電流によって磁場が形成される。この磁場の変化を多数のコイルによって計測する手法がMEGだ。MEGは装置も高価だし、ランニングコストもかかる。それでいて、見れる信号はEEGとほぼ同等…
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