数字の重要性と危うさ~2017年に話題になった研究から考える~
2017年ももうすぐ終わり。みなさんにとって今年はどんな一年でしたか?
科学研究においては、イギリスのオルトメトリク社がこの一年で最も話題になった研究Top100というのを先日発表しました。
そして、このランキングの第三位に日本人研究者の論文が選ばれました!
おめでとうございます!!
どういった研究かというと、、
「女性医師の方が男性医師よりも患者の死亡率や再入院率が低い」
つまり、誤解を恐れずにいうなれば、
女性医師の方が男性医師より”平均的に”腕がいい、ということ。
まず、先に断わっておくと、この研究はアメリカでおこなわれたもので、アメリカの医師のデータに基づいています。なので、そっくり日本に当てはまるものとは限りません。
どれくらい、死亡率・再入院率が違うかというと
30日死亡率が、男性医師11.5%に対して、女性医師は11.1%
30日再入院率は、男性医師15.6%に対して、女性医師は15.0%
それぞれ、0.4%と0.6%違うという結果が得られたようです。
個人的には、0.4%程度の違い大したことないんじゃない?なんて最初思いました。
しかし、どうやらこの違いなかなかに大きな違いのようです。
詳しくは、研究者ご本人のブログをご覧になった方がいいかと思いますが、この違いどれくらいか、もう少し実感しやすい数字にしましょう。
もし、アメリカ全土の男性医師(ここでは内科医)が女性と同水準の医療の水準になれば、なんと32,000人もの患者が亡くならずに済む計算になります。
そっくりそのまま、日本に当てはめても、1万人くらいの患者が救われる推定なんだそうです。
こう聞くと、大きな違いだと考えるようになりませんか?
同じ情報でも、数字の見せ方によってここまで、伝わり方が違うんですね!
そもそも、なぜこの論文がランクインしたのでしょう?
素晴らしい研究であることはもちろんなのですが、このランキングはどうやって決められたんでしょう??
近年、論文の重要性を示す指標として、オルトメトリクス(Altmetrics)というものが注目されています。
これは、Alternative(代わりの)+Metrics(指標)からの造語なのですが、これまで(というか現在も)、論文の(正確には論文誌の)価値を示す指標としてはImpact Factor(IF)というものが一般的です。
IFは、その論文誌に掲載された論文がどれだけ多く他の論文にて引用されたか、を基準に数値化したものです。
しかし、IFは”どれだけ論文に引用されたか”なので、指標に反映されているのは研究者からの評価に限ります。
でも、それでは論文の社会的な重要性は評価できていないのでは??
ということで、代わりの指標「オルトメトリクス」が登場しました。
オルトメトリクスは、ニュース、ブログ、SNSなどで”どれだけ取り上げられたか”を基準にしたものです。なので、世間の注目度を反映した新しい指標です。
ということは、「女性医師の方が男性医師よりも患者の死亡率や再入院率が低い」ことを示すこの研究が世間の注目度がとても高かったというわけです。
これは、女性の地位向上について世間的な関心が高いことであったり、
その反面、このようなデータが注目される背景には、まだまだ男女間で雇用の格差が依然としてあるってことでもあるかなぁと思います。
そして、代わりの指標として注目されているオルトメトリクスですが、ここには数字にすることの危うさもあるなぁと感じています。(これはIFも同様ですが)
というのも、この指標がどういう媒体で取り上げられたかによって(ニュースなのか、SNSなのかなど)、点数がつけられているというところ。
たとえば、SNS受けを狙った研究が高い数字を出すかもしれません。
また、数字になるとそれぞれの研究の価値が明確にはなりますが、この研究はあの研究よりもオルトメトリクスが二倍だからといって、それはイコール二倍の価値でしょうか?
数字にすることは、ある基準においては公平かもしれません。
ですが、あまり一つの指標にとらわれていても良いことはなさそうです。
難しいことですが、いろいろな視点から研究の重要性を判断することが必要なのでしょう。
科学研究においては、イギリスのオルトメトリク社がこの一年で最も話題になった研究Top100というのを先日発表しました。
そして、このランキングの第三位に日本人研究者の論文が選ばれました!
おめでとうございます!!
どういった研究かというと、、
「女性医師の方が男性医師よりも患者の死亡率や再入院率が低い」
つまり、誤解を恐れずにいうなれば、
女性医師の方が男性医師より”平均的に”腕がいい、ということ。
まず、先に断わっておくと、この研究はアメリカでおこなわれたもので、アメリカの医師のデータに基づいています。なので、そっくり日本に当てはまるものとは限りません。
どれくらい、死亡率・再入院率が違うかというと
30日死亡率が、男性医師11.5%に対して、女性医師は11.1%
30日再入院率は、男性医師15.6%に対して、女性医師は15.0%
それぞれ、0.4%と0.6%違うという結果が得られたようです。
小さくて大きな0.4%の違い
どうでしょう?この違い。大きな違いと感じましたか?それとも小さいと思いますか?個人的には、0.4%程度の違い大したことないんじゃない?なんて最初思いました。
しかし、どうやらこの違いなかなかに大きな違いのようです。
詳しくは、研究者ご本人のブログをご覧になった方がいいかと思いますが、この違いどれくらいか、もう少し実感しやすい数字にしましょう。
もし、アメリカ全土の男性医師(ここでは内科医)が女性と同水準の医療の水準になれば、なんと32,000人もの患者が亡くならずに済む計算になります。
そっくりそのまま、日本に当てはめても、1万人くらいの患者が救われる推定なんだそうです。
こう聞くと、大きな違いだと考えるようになりませんか?
同じ情報でも、数字の見せ方によってここまで、伝わり方が違うんですね!
代わりの指標
そして、もう一つ気になったことがあります。そもそも、なぜこの論文がランクインしたのでしょう?
素晴らしい研究であることはもちろんなのですが、このランキングはどうやって決められたんでしょう??
近年、論文の重要性を示す指標として、オルトメトリクス(Altmetrics)というものが注目されています。
これは、Alternative(代わりの)+Metrics(指標)からの造語なのですが、これまで(というか現在も)、論文の(正確には論文誌の)価値を示す指標としてはImpact Factor(IF)というものが一般的です。
IFは、その論文誌に掲載された論文がどれだけ多く他の論文にて引用されたか、を基準に数値化したものです。
しかし、IFは”どれだけ論文に引用されたか”なので、指標に反映されているのは研究者からの評価に限ります。
でも、それでは論文の社会的な重要性は評価できていないのでは??
ということで、代わりの指標「オルトメトリクス」が登場しました。
オルトメトリクスは、ニュース、ブログ、SNSなどで”どれだけ取り上げられたか”を基準にしたものです。なので、世間の注目度を反映した新しい指標です。
ということは、「女性医師の方が男性医師よりも患者の死亡率や再入院率が低い」ことを示すこの研究が世間の注目度がとても高かったというわけです。
これは、女性の地位向上について世間的な関心が高いことであったり、
その反面、このようなデータが注目される背景には、まだまだ男女間で雇用の格差が依然としてあるってことでもあるかなぁと思います。
そして、代わりの指標として注目されているオルトメトリクスですが、ここには数字にすることの危うさもあるなぁと感じています。(これはIFも同様ですが)
というのも、この指標がどういう媒体で取り上げられたかによって(ニュースなのか、SNSなのかなど)、点数がつけられているというところ。
たとえば、SNS受けを狙った研究が高い数字を出すかもしれません。
また、数字になるとそれぞれの研究の価値が明確にはなりますが、この研究はあの研究よりもオルトメトリクスが二倍だからといって、それはイコール二倍の価値でしょうか?
数字にすることは、ある基準においては公平かもしれません。
ですが、あまり一つの指標にとらわれていても良いことはなさそうです。
難しいことですが、いろいろな視点から研究の重要性を判断することが必要なのでしょう。
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