読んだ本メモ 「動的平衡」福岡伸一
読んだ本について備忘録

タイトルは「動的平衡 Dynamic Equilibrium」
「生命はなぜそこに宿るのか」という副題がつけられています。
著者は分子生物学者の福岡伸一さん。
一般向けの著作も多数、「生物と無生物のあいだ」は有名。
「動的平衡」とは?
昨日の私と、今日の私は同じ私です。
これは紛れもない事実ですが、ミクロな視点で見るとそうとも言えなくなってきます。
私たちの体を構成する分子は、日々分解され作り替えられているからです。
髪や爪が伸びるのと同じように、体すべてが作り替られています。
「私たちの身体は分子的な実体としては、数ヵ月前の自分とは全く別物になっている。分子は環境からやってきて、一時、淀みとして私たちを作り出し、その瞬間にはまた環境へと解き放たれていく。」
通りすぎて行く分子の淀みが私たちの身体であり、その流れが生きているということ。
こうした流れの中で一定の状態を保っていることが「動的平衡」と呼ばれています。
生命には「魂」があると考えている人は現代でも多くいらっしゃると思います。
古代ギリシャの時代では、「プネウマ」が生物を動かしているという生気論が唱えられていました。
一方で、ガリレオやデカルトの時代から自然科学は大きく飛躍を遂げます。それは「機械論」的思考によるものです。現代の生物学や生理学においても生体や生体を構成する組織を「機械」として捉えることで多くの発見がなされ、多くの病気が解明されてきました。
とはいえ、やはり生物はロボットではありません。臓器や四肢を入れ替えれば、必ずよくなるとは限らないと思います。それは、「生きている」ということは動的平衡状態の「流れ」に相当するということが原因かもしれません。
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