読んだ本メモ⑥ 「人間の土地」サン=テグジュペリ著 堀口大學訳

間違いなく現代の名著。サン=テグジュペリが職業飛行家としての劇的な体験をもとに、人間の本然を示した作品です。カバー装画は宮崎駿さんが書かれたものです。
「星の王子様」で知られる著者が記す”勇敢さ”とは?”ヒロイズム”とは?
心に響く言葉が数多くあり、忘れないようにここに記したいと思います。


厳しい郵便飛行路の開拓の末、散って行った仲間を偲び、真の贅沢とはただ一つ、人間関係の贅沢であると語っています。
物質上の財宝を追うて働くことは、われとわが牢獄を築くことになる。人はそこへ孤独の自分を閉じ込める結果になる、生きるに値する何ものをも購うことのできない灰の銭をいだいて。

やはり仲間を思い、人間の責任と偉大さについて
彼もまた、彼らの枝葉で広い地平線を覆いつくす役割を引き受ける偉人の一人だった。人間であるということは、とりもなおさず責任を持つことだ。人間であるということは、自分には関係がないと思われるような不幸な出来事に対して忸怩たることだ。人間であるということは、自分の僚友が勝ち得た勝利を誇りとすることだ。人間であるということは、自分の石をそこに据えながら、世界の建設に加担していると感じることだ。…
ぼくは死を軽んずることをたいしたことだとは思わない。その死がもし、自ら引き受けた責任の観念に深く根ざしていないかぎり、それは単なる貧弱さの表れ、若気のいたりにしかすぎない。

サハラ砂漠の真っ只中に不時着したサン=テグジュペリが、生還が絶望的である中で
人は人間の働きをしてみて、はじめて人間の苦悩を知る。人は風に、星々に、夜に、砂に、海に接する。人は自然の力に対して、策をめぐらす。人は夜明けを待つ、園丁が春を待つように。人は空港を待つ、約束の楽土のように。そして人は、人間の本然の姿を、星々のあいだにさがす。

戦争について
なぜ憎しみあうのか?ぼくらは同じ地球によって運ばれる連帯責任者だ、同じ船の乗組員だ。新しい総合を生み出すために、各種の文化が対立することはいいことかもしれないが、これがお互いに憎しみあうにいたっては言語道断だ。

人間の役割とは?
たとえ、どんなにそれが小さかろうと、ぼくらが、自分たちの役割を認識したとき、はじめて僕らは幸福になりうる、そのときはじめて、ぼくらは平和に生き、平和に死ぬことができる、なぜかというに、生命に意味を与えるものは、また死にも意味を与えるはずだから。


名言が多すぎて、引用だらけになってしまいましたが、現代の僕らに人間の本然を教えてくれることば達だと思います。「夜間飛行」も読まねば。


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