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ゴッホとゴーギャン展 上野・東京都美術館

私は、ラッセンよりふつうにゴッホが好きです。 ということで、ゴッホとゴーギャン展に行きました。 会期終了間近の日曜だったので、大変な混雑でした。(20分待ち) みんなゴッホ好きですよね。ゴーギャンも人気でしょうけど。 私が人生で最初に画家として認知した人物はゴッホだと思います。 小さいころ絵を描くのが好きで、なりたい職業として”絵描き”を上げていた私に、 両親は、「生きているうちにはまったく売れないかもしれないよ」といいました。 それはまさしくゴッホのことでした。 あの特徴的な作風は、物心がつくよりも先に私の脳に焼き付いています。 そして、「夭折の天才、死後に評価が高まる」というのが私のなかの典型的な画家像となりました。 そして、ゴッホと並び評されるゴーギャン。 ゴーギャンも小さいころから知っています。でも、タヒチの人を描いた作品を多く見ていたので、ゴーギャン本人も色黒だと子供のころは勘違いしていました。ゴーギャンが白人と知った時は非常に驚きました。 それはさておき、 今回の企画展を見て、二人のイメージは大きく変わりました。 同時代を生き、アルルで共同生活を送るほど親密な交流をしていた二人ですが、その作風はまったく異なります。 ゴッホの作風は、糸杉の絵などに代表されるような、揺らめく線と特徴的な色使いです。 私は、とても神秘的な絵を描く人と認識していました。 一方、ゴーギャンはタヒチに暮らす人々とその人々の生活を描いており、大胆な色彩の配置と構図をとりつつも、どちらかというと写実的な印象を持っていました。 しかし、実はまったく逆だったのです。 ゴッホとゴーギャン展では、二人の作品だけでなく二人に影響を与えた画家たちの作品も踏まえながら、いかにして影響をしあい、作風を変化させていったか、というのがよくわかりました。 そこで強調されていたのは、 常に現実を描こうとするゴッホと、夢や空想を好むゴーギャン という人物像でした。 ゴッホは常に現実を描こうとしていました。 多くの肖像画をゴッホは残していますが、 目の前にいる人物を、その人柄を含めて現実を描こうとしていました。 一方で、ゴーギャンは 現実とは異なる配置やそこにいるはずのない人を描くなど、自由な構成を好みました。 アルル...

読んだ本メモ⑯ 「ノーザンライツ」 星野道夫著 新潮文庫

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アラスカを拠点に活躍した写真家、星野道夫の遺作である「ノーザンライツ」。 アラスカの地で、アラスカの自然と文化を守るために、活躍した人々がいた。 アラスカに核実験場を作るという計画がかつて持ち上がっていた。しかし、核実験場の建設による、アラスカの自然や野生動物たち、さらにはネイティブアメリカンの生活への影響は軽視されていた。いまほど、自然保護への関心が低かった時代。動き始めた国家の一大プロジェクトを中止させるには、どれほどの苦労と信念が必要だっただろうか。 アラスカを、そしてそこに生きた人々を敬愛する星野道夫の目を通して見るアラスカの歴史は、非常に感情豊かで、人と人のつながりが時代を作っていることを感じさせてくれる。 p 45  アラスカは厳冬期に入っていた。フェアバンクスはマイナス四〇度の日々が続いている。アラスカでも一番気温が下がるこの町の冬がぼくは好きだった。  山から下りてきたムースが、バチン、バチンと水気のないヤナギの小枝をついばみながら、家の近くの森の中でじっと寒気に耐えている。アカリスが、凍りついたトウヒの木のてっぺんで、冬の日の短い太陽を浴びている。マイナス四〇度の大気の中、チッ、チッとさえずりながら飛んでくるコガラやベニヒワ。そんな苛酷な冬の風景に魅かれるのは、自然という鏡に映しだされた、自分自身の生命の姿がはっきり見えてくるからだろう。それは日々の暮らしの中で忘れている、生きていることの脆さであり、いとおしさでもある。 この文章は非常に好きだ。凍てつく寒さの中でも、豊かな生命の息遣いが聞こえて来る。そして、最後の文章。ぼくが冬の山に魅かれるのも、まったく同じことだ。日常で希薄になっている生命の輪郭がはっきりするのを感じられるのだ。 p 212 ぼくはその時、「間に合った」という想いに満たされていたのだと思う。あらゆる伝説が消え、あらゆる神秘が目の前に引きずりだされた今、私たちにはもう新たな物語があまり残されていない。人間の気配がない、誰にも見られていない、太古の昔から静かに流れてきた壮大な自然のリズム。もう二十一世紀を迎えようとしているのに、時の流れに取り残されているかもしれぬそんな風景を遥かな極北の地に探していたのだった。 ぼくもそんなことを感じられる自然に出会いたい。 p 22...

星野道夫の旅

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 ひと月ほど前だったか。たまたま時間が空いて、高円寺駅前の本屋にふらりと立ち寄った。文禄堂といって荻窪と高円寺に店舗がある本屋らしいが、なかなか個性的な本屋だ。ぜひまた今度立ち寄りたいと思わせる本屋だった。私は本屋に行けばとりあえず、雑誌コーナーへ行き「岳人」と「山と渓谷」にかならず目を通すのだが、この日もやはり雑誌コーナーへ足が伸びた。しかし、そこで私はホッキョクグマの寝顔を写した写真に目を奪われ、思わずその雑誌を手に取った。それは、BRUTUSの星野道夫特集号だった。  恥ずかしながら、この時初めて星野道夫を知った。きっと星野道夫の撮影した写真は幾度となく目にしてきただろうに、当人のことは知らずにいたのだ。だが、ここで知ることができて良かったと思うべきか。パラパラとページをめくってみると、自分と近い人間だ、と誠に僭越ながら感じた。出身大学が同じであったことに親しみを覚えたこともあるが、自分もこの人のように生きたらきっと豊かな人生になるだろうと思わずにはいられないのだ(若くして亡くなってしまうことは抜きにして…)。今年は亡くなって20年にあたる年らしい。星野道夫のこと知ったタイミングは偶然だったが、どんな形にせよきっと近いうちに知ることになっただろう。  彼の著作の一つである「旅をする木」。これはそのうち必ず読もうと思って、メモをしておいた。この日はこれで終わり、しばらく星野道夫のことは忘れて過ごしていた。  そしてつい先日、友人に誘われて見に行ったルイヴィトンのギャラリー( http://www.espacelouisvuittontokyo.com/ja/ )でピエール・ユイグの作品に出会った。それは、南極で撮影された映像作品だった。それを見た影響で、私の”南極行きたい熱”が再燃するとともに、星野道夫のことを思い出した。11月はイベントやら学会が控えている、そんな忙しい時期ほどこういう横道に逸れてしまいがちなのだが、敢えてどっぷり星野道夫に浸かってみることにした。  まずは、図書館で「旅をする木」を借りてきた。読んでみると、星野道夫のエッセイである。日記に近いがとても文章がうまい。読みやすいながら、優しさと力強さのある文章だ。より一層、星野道夫に興味が湧く。本人のことをもっと知りたくなって、インターネットで検索してみる。熊に襲われて亡くなった...

読んだ本メモ⑮ 「アルケミスト -夢を旅した少年-」 パウロ・コエーリョ著 山川紘矢、山川亜希子訳

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旅の途中に読むのならと人に勧められたのが、ブラジルの作家パウロ・コエーリョの大ベストセラー「アルケミスト -夢を旅した少年-」。本当に旅にぴったりの作品だったし、なにより読んでよかったと思える作品だ。 主人公の少年サンチャゴは、夢で見たお告げに従って、アンダルシアからエジプトのピラミッドへと旅に出る。それは人生そのものと言えるほど壮大な旅だ。そもそも旅をしたいという理由から羊飼いになったサンチャゴは、羊のことそしてアンダルシアの平原のことなら、なんでも知っていたし、羊飼いという仕事も愛していた。しかしそういった彼の得たものを手放して、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて、エジプトへと旅立つのだ。 サンチャゴの住むスペインから、ジブラルタル海峡を挟んでアフリカ大陸に渡るとタンジェという町に着く。国でいうと現在のモロッコである。アンダルシアでは羊飼いとして一人前であったサンチャゴも、アフリカという異郷の地では、ただの世間知らずの少年である。タンジェに来て早々に全財産をすられてしまうのだ。 そういった苦境の中でも、少年から一人の男へとたくましく成長していきながら、様々な人たちに出会い、目指すピラミッドへと進んでいく。 この本を読むと、子供のころには誰もが夢を持っていて、それを実現できると思っていたということを思い出させてくれる。多くの人は、ある時今いる環境に満足して(もしくは満足したと自分を思い込ませて)、夢をあきらめてしまうだろう。サンチャゴも、そういった満足を得そうになりながら、本当に自分が望んでいるものはなんだったのかと思い起こすのである。 そういった強い願望と、そして前兆に従うことで、ピラミッドに近づいていく。 サンチャゴは、夢や占い、さらには風や鳥などから、前兆を知り大いなる力に導かれていく。私は信仰心もないし、そんなことは非科学的だと思う。しかし、人が強く望むこと、そして好機をとらえて、そして強く信じて取り組むことが、なにかを実現することの原動力となることに疑いはない。そして信仰というものは、強く信じさせてくれる力そのものだ。心の強い人は自分を信じることで前に向き続けることもできるだろう。しかし多くの人は、自分以外のどこかに信じる対象をおかなくては歩き続けることはできない。だからこそ、宗教があるんだと思うし、信仰心の重...

奥秩父・竜喰谷遡行

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10月中旬、ついこないだまでの暑さは何処へやら、めっきり秋らしくなった。沢のシーズンも終わろうとしている。沢納めということで、奥秩父・竜喰谷に行くことにした。「竜喰」と書いて「りゅうばみ」と読む。登れる滝が多く、また巻道もしっかりしているので、初級者から中級者にも楽しめる沢。ただかなり山深いところで、公共交通機関でのアプローチはしんどいが、車であれば、入渓点まで入れる。 山域:奥秩父・竜喰谷 日程:2016年10月16日(日)前夜泊+日帰り パーティ:5人 装備:30 mロープ1本 カメラ:GoPro Hero3 15日(土)20時。みんなを迎えに車で武蔵小杉駅に行く。やんごとなき理由(ラーメン屋に並んでいて…)のため、到着が遅れてしまった。まぁでもドライバーである私に文句も言えまい。  今夜は、入渓点付近にある「道の駅たばやま」まで行く予定である。入渓点まで車で行けるのであるが、少し離れた道の駅で泊まる。もちろん、トイレや水道があり便利であることが第一の理由であるが、もう一つ理由があった。というのも、入渓点のある一之瀬川には「おいらん淵」という心霊スポットがあるのだ。戦国時代、武田の隠し金山の秘密が漏れることを恐れた金山奉行によって、遊女五十五人が口封じのため淵に沈めて惨殺されたとされている。正直、私はどうでもいいのだが(そもそも心霊スポットが近いことを知らなかったし)、道の駅で前夜泊をして翌朝入渓点に向かうこととなった。「道の駅たばやま」までは中央道を上野原で下りて、そこからひたすら山道を進む。かなり山深いところだった。アップダウンも多く、二、三回は峠を越えたと思う。  22時半。「道の駅たばやま」に到着。止まっている車は多く、登山だけでなく、釣りやカヌー?目的の人たちもいるようだ。駐車場にテントを張り、ささやかな宴会ののち、24時就寝。 16日(日)5時。寝足りないが起床。かなり寒い…この日の丹波山の最低気温は10℃!沢に行きたくないムード漂う。とりあえず水温チェックしてから入渓するかどうか決めようなどと話しつつ、6時出発。  入渓点についたのは、6時45分くらいだったかな。最初、入渓点を間違えて通りすぎてしまった。入渓点を通り過ぎると、「オートキャンプ場 サバイバルゲーム」などと書かれた看板が出てくるので、その看板を見たら引き返そう...

北アルプス後立山連峰縦走 鹿島槍ヶ岳・五竜岳

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山域:北アルプス後立山連峰 鹿島槍ヶ岳・五竜岳 日程:2016年9月16日ー17日 コース: <1日目>扇沢(柏原新道登山口)ー種池山荘ー爺ヶ岳ー冷池山荘 約5時間 <2日目>冷池山荘ー鹿島槍ヶ岳ー八峰キレットー五竜岳ーテレキャビン 約9時間 パーティ:単独 カメラ:Pentax K-30 9/16  5時半。昨夜新宿を出発した高速バスは扇沢に到着した。高速バスのおかげで北アルプスへのアクセスは本当に便利だ。台風が接近していることもあってかバスは空いている.。隣の席に乗客はおらず、広々としていて快適だった。扇沢に来るときは大抵アルペンルートで立山方面に行くばかりだったが、今回は違う。車道を徒歩で10分程度戻り、柏原新道の登山口に向かう。ここから後立山連峰を縦走する。 6:45柏原新道登山口 を出発。ただ黙々と登るのみ。左手後方には針ノ木岳が見える。登山道が左へ曲がりトラバースするように稜線へ続く。標高が上がってくるとダケカンバの白い幹と赤や黄色に色づき始めた紅葉樹が美しい。 9:30種池山荘 に到着。ここからは本日の最高地点となる爺ヶ岳を目指す。振り返ると近景にはハイマツの緑と紅葉樹が、遠景には立山連峰が見渡せ、素晴らしい景色が広がっている。そしてつがいの雷鳥にも出会うことができた。 立山連峰と種池山荘 紅葉と鹿島槍 10:45爺ヶ岳 中峰。今日は残り冷池山荘まで下るのみ。もうちょっと歩いておきたいところであるが、テントサイトの都合上仕方ない。 11時半冷池山荘 に到着する。幕営料は一人700円、水は1L150円。テントサイトは山荘から8分ほど登ったところにある。この8分結構しんどいです。トイレ行くだけで8分の道のりを行って帰らねばならぬのである。しかし、テントサイトはとても見晴らしが良い。正面に剱岳が堂々たる山容を見せてくれている。暇すぎて、昼寝と読書とカメラと…あとコーヒー飲みたいけど、水もったいないから今は一杯だけ。午後少し雨がぱらつくが、結局この日は本格的降ることはなかった。日が沈むと、月が出てきた。昨日は十五夜でしたね。 9/17 4時起床。今日は午後から天気が崩れる予報。できたら午前中に五竜山荘についておきたい。と言いつつ特別早起きはしていない。早く起きるより、速く歩く。朝食はコーヒーとビスコ...

OpenFrameworksの覚書 ofxAssimpModelLoaderのおっせかい機能(サイズの規格化)の解除

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昨年3Dモデルに少し足を踏み入れたが( 脳の3DグラフィックをOpenFrameworksで作成 )、特別アプリケーションを作っていなかったので脳の3Dモデルを使ってアプリケーションを作ろうと思う。 同様に、Brainder( http://brainder.org/download/brain-for-blender/ )のモデルを使わせてもらうが、今回は大脳が領域ごとに独立したモデルを使いたい。 そのためには、モデルを70個くらい用意して、一つ一つにファイルをロードしなくてはいけない。そこは別になんとかなるんだけど、 すべてのモデルをfor文回して、描画したときに位置とかサイズとかおかしなことに。。。 こんな感じ。なんでしょうねこれは。。。 Blenderにインポートしてみてもちゃんと表示されるし、どうしたものかと数日悩んでいた。 で調べてみたら、 OFの知恵袋的なところで同じような問題を抱えている人が質問投げていて、理由がわかった。 どうやらofxAssimpModelLoaderってやつはtraditional OF coodinate systemに合うように、勝手にモデルのサイズを調整してくれちゃううらしい。マジおせっかいな機能だ。traditional OFなんちゃらってのが何かはさておき、そのおせっかい機能を無効にするためには、 model.setScaleNormalization(false); とすればいいみたい。わかってしまえば単純な。 早速やってみると まあきれい! ソースコードは以下のような感じで、 ファイル読み込むところはtxtファイルにファイル名の一覧を作ってその文字列を頼りにloadModelをしています。(ディレクトリ内のファイル名をとってくる方法がわかんなかったので。) ヘッダーファイル #pragma once #include "ofMain.h" #include "ofxAssimpModelLoader.h" #include "ofxGui.h" #define modelNum 70 class ofApp : publ...

北海道 クワウンナイ川遡行

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お盆休みを利用して、ついに沢屋の“聖地”?クワウンナイ川に行ってきました! 正直今まで登ってきたどの沢よりも美しい名渓でした。 山域:北海道、クワウンナイ川 日程:2016年8月13日~14日(前夜泊+一泊二日) メンバー:3人 装備:ロープ30m×1、釣り竿×1 行程 13日:5:15清流橋-5:45入渓-12:00カウン沢出合-16:00F9上 幕営地 14日:5:00幕営地-7:30登山道(天沼の南)-{AT 9:00トムラウシ山頂-10:00天沼の南}-11:30化雲岳-17:00天人峡  8月11日午後5時半。常磐道をひた走り、大洗港に着いたところだ。なぜこんなところへ来たかというと、苫小牧行のフェリーに乗るためである。北海道へ向かうフェリーは関東ではここ大洗港からだけらしい。苫小牧港に着くのは、翌日の午後1時半の予定である。およそ800㎞の航程を19時間かける船旅となる。この度、乗船することとなったさんふらわあ号はなかなかの年代物らしく船内設備などどことなく”昭和感”が漂っている。座席は一番安いエコノミー、大部屋にてたたみ半畳ほどの布団が一人一人にあてがわれるという、雑魚寝スタイルである。船内には、売店、浴場、レストランなどホテルと同等の設備があり、さらにシアターやゲームコーナーなども用意されている。特に白波立つ大海原を見渡せる浴場はすばらしい。 フェリーからの朝日  8月12日午後13時半。苫小牧港に降り立つ。船からの荷物の搬出等も見ていて飽きない。近くの市場で苫小牧名物?北寄貝カレーで腹ごしらえをしたのち、登山口となる天人峡を目指す。道央道をひた走るが、北海道の広大な大地に圧倒される。旭川で高速道路を下り、天人峡を目指す。午後9時天人峡に到着。ここでKさんと合流。Kさんは昨日から旭岳~トムラウシと縦走し、天人峡に下山してきたのである。そして、明日からは我々とともにクワウンナイ川を遡行するという。。。なんというタフさ。  8月13日午前4時過ぎ。あたりが明るくなり起きる。少し寝坊してしまった。各々長旅や登山疲れがたたったか、それとも単純に私が目覚ましかけ損ねたせいか。 駐車場正面に迫り来る柱状節理「あまつ岩」  朝食、身支度を整え5時出発。入...

南アルプス 野呂川小仙丈沢

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7月三連休を利用して、南アルプスの小仙丈沢に行ってきました。初小仙丈沢! 当初は奥利根のヘイズル沢に行こうと計画していたのだが、尾瀬の天気予報は絶望的だったので、代替案として南アルプスへいくことに。 山域:南アルプス、野呂川小仙丈沢 日程:2016年7月16日~17日(夜発日帰り) メンバー:6人 装備:ロープ30m×1、50m×1 16日 都内→芦安駐車場 16日20時、都内を車で出発。今回のメンバーは28、27、27、22、22、22才とキレイに3:3の年齢構成V6的な?今回のプラン準備は全部カミセンの3人がやってくれました(笑)しかも、私はこの三人とは今回初対面。 今日の目的地は芦安駐車場です。マイカー規制のため、夜叉神峠までしか車ではいけません。しかも、夜叉神峠は満車らしいので、今日は芦安駐車場まで。 談合坂SAで、腹ごしらえしつつ、地図読みあわせ&装備分け。 17日 芦安駐車場(5:30)→広河原(6:50)→野呂川出合(7:00)→小仙丈沢入渓(8:00)→二つ目の大滝上(11:00)→稜線(13:00)→北沢峠(14:30) 4:40、起床。テントの入口開けっ放しだったのがいけないのだが、蚊に刺されまくった。みんなそうだったみたいで全員寝不足。 5:30、予約したタクシー到着。広河原まで一万円(一律らしい)。広河原からさらにバス。広河原はすごい登山者の数!連休だし登山シーズンだしね。広河原から北沢峠行きのバスに乗り、野呂川出合で下車(7時頃)。ここから野呂川沿いの林道を歩く。ぼくら同様に沢登りに来た人や、あとは釣り人も数人いる。30分ほど歩くと小仙丈沢出合に着く。沢支度を整え8時頃入渓、ほかにも2パーティほど小仙丈沢に入渓する人たちがいた。 林道を進む トップはOくんで出発。そもそも水量の多くない沢らしいが、雨で増水ということは特に心配なさそう。最初の堰堤を乗り越え、ゴーロをずんずん進んでいると Oくんが遅れ出す。あんまり気にせず歩いていたがどうやら足をくじいたらしいので、ちょっとストップ。サポーターを巻こうと靴を脱ぐと、若干足首が腫れている。そして、相当に痛そう。非常に言いづらそうに「このまま歩くのは厳しい」というOくんの自己申告。入渓早々、なんでもないゴーロで…… 大滝 一つ目 林道まで、今...

椋鳥と鷹の行動をシミュレーションしてみた

『「みんなの意見」は案外正しい』 があまりに面白かったので、ちょっと遊んでみることにしました。 いろいろエピソードがあったけど、ビジュアル的にも面白いものできそうなので、ムクドリの話をシミュレーションで実証しました! この著作の中では、このように書かれています… 外部から観察していると、群れを守ろうとするリーダーが群れの動きを導いているように見える。そこまでいかないにしても、椋鳥たちは少なくともお互い協調して、群れの生き残りのためにあらかじめ合意した戦略に沿って動いているように見える。だが、どちらの見解も間違っている。椋鳥は次の四つのルールに従って行動している。 ①中心にできるだけ近いところにいるようにする ②隣の個体と二、三羽分の距離を空けて飛ぶようにする ③ほかの個体にぶつからないようにする ④鷹に襲われたら逃げる ほかの個体の次の行動を知っている椋鳥はいない。ほかの個体に命令する椋鳥もいない。群れが正しい方向に進み、捕食者の攻撃を避け、バラバラになっても群れがもう一度まとまれることを保証するのは四つのルールだけだ。 ムクドリには、指揮をするリーダーがいるわけでも、あらかじめ合意した戦略があるわけでも、お互いの協調しているわけでもなく、単純な四つのルールで行動していると。 じゃあ、このルールだけで本当に鷹から逃げつつ群れがまとまっていられるのか!?シミュレーションで実証してみよう! まず、ルールについてもう少し定量的に表現してみる、 ①中心にできるだけ近いところにいるようにする まず、N羽のムクドリが3D空間上にいることを考える。それぞれのムクドリは全ムクドリの位置座標の重心点に向かおうとする。ただし、②、③、④の条件の方が優先順位が高い。 ②隣の個体と二、三羽分の距離を空けて飛ぶようにする お互いの距離は群れの大きさに影響するので、とても重要なパラメータ。ムクドリ同士の距離が、ある一定値( Dsとする )以下になる場合は、重心点から遠ざかるように行動する。 近づきすぎた場合にどう行動させるか、難しかしい。遠ざかる方に行動したところで、ぶつかる可能性はある。しかし、あまり複雑な条件検討をしたくはなかったので、取りあえず、近づきすぎたら、広がる方に少し動くようにさせるだけに。 ③ほか...

読んだ本メモ⑭ 「『みんなの意見』は案外正しい」 J・スロウィッキー著 角川文庫

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グーグルが何十億というウェブページから、探し出しているぺーじをピンポイントで発見できるのも、正確な選挙結果が予測できるのも、株式市場が機能するのも、すべて「みんなの意見」つまり「集団の知恵」のたまものである。多様な集団が到達する結論は、一人の専門家の意見よりもつねに優るという説を提示し、ウェブ時代の新しいパラダイムを予見。 このように、背表紙に評されています。これは、「集合知」について書かれた読物。 さまざまな実験、実際に起きたエピソードを交えながら、わかりやすく説明してくれます。少し前には、「ビッグデータ」が騒がれたり、「ダイバーシティ」という言葉がはやったり、というのにも多分に「集合知」の重要性が認識されてきたことに深くかかわっているでしょう。 どんな優秀な個人よりも、「みんなの意見」が優る。ということはにわかには信じがたい。ですが、グーグルや株式市場だけでなく、現代社会のさまざまな局面で「みんなの意見」の正しさは証明されているのです。 「みんなの意見」が賢い判断を下すためには、四つの条件が必要です。 ・意見の多様性(それが既知の事実のかなり突拍子もない解釈だとしても、各人が独自の私的情報を多少なりとも持っておる) ・独立性(他者の考えに左右されない) ・分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる) ・集約性(個々人の判断を集計して集団として一つの判断に集約するメカニズムの存在) 個人の回答には情報を間違いという二つの要素があり、この四つの条件が満たされるとき、間違いは相殺されて情報だけが残る、というわけです。 意見の多様性を確保するためには… (前略)重要なのが多様性だ。これは社会的多様性ではなく、認知的多様性のことである。同じ基本コンセプトを少しずつ変えただけのアイディアよりも、発想が根本から違う多様なアイディアがたくさん出てくるように企業家の発想には多様性が必要だ。それに加えて資金を持っている人の多様性も必要だ。 多様性そのものに価値があり、集団のメンバーを多様にするという単純なことだけで、よりよいソリューションにたどり着ける。知性が重要ではないとは言わない。だが集団のレベルで考えれば、知性だけでは不十分だ。問題を多角的に検証する視点の多様性が得られないからである。知性という...